ヨガと解剖学
ヨガ指導者は、ある意味運動指導者です。
ヨガ指導者にとって、解剖学・生理学・バイオメカニクスは生徒を観察し、安全に正しい動作やポーズを指導するツールの一つです。
解剖学は骨や筋肉など身体の構造を、生理学は身体内部の仕組み、バイオメカニクスは身体が動く仕組みを学びますが、それぞれが密接に関係しています。
実際、これらの知識がなくてもヨガの練習やインストラクターとしての指導は可能ですが、より安全な指導を行うためには解剖学の知識が必須です。
とはいえ、20年前のヨガ指導者に解剖学的な知見があったのか?というとおそらく皆無です。
一部の熱心な指導者は勉強していたとは思いますが、スタンダードな考え方ではなかったと思います。
まぁ、ヨガといっても色々なヨガがあるので、どれが良い悪いはいうことはできませんが。
解剖学を学ぶ理由
ヨガにおいては、ポーズを深めることで怪我につながることも少なくありません。また、解剖学・生理学を理解することで、誤った指示やアジャストメントによる生徒さんの受傷を防ぐ意味もあります。
これらの知識はなぜ生徒が特定のポーズができないのかを理解するための鍵の一つにもなります。
他人の身体を観察する際には、経験的で直感的な考えではなく、解剖学というメガネを通して身体の構造として理解する必要があります。
身体の構造は人間であればほとんど同じですが、一つ一つのパーツの大きさや長さの個人差があることも解剖学を学ぶ一つの意義です。
まずは、ヨガインストラクターとして必要な筋肉・骨・関節の構造や呼吸の解剖学・生理学、脳のバイオメカニクスなど、基礎的な内容を学びましょう。
そして、学習する際には、まずは身体の部位の名前や骨、筋肉、解剖学的な用語を覚えることが大切です。解剖学という共通の言語を使うために、それぞれの単語の定義や意味を共有することができないと始まりません。
用語を覚えることが解剖学そのものではありませんが、用語を理解しないとコミュニケーションがスムーズにできない、ってことです。
解剖学を学ぶときのポイント
また、ヨガの解剖学を考える際には身体を全体的に捉えることが大切です。
動きは筋肉がつくり、関節が動かしますが、筋肉同士は筋膜を通して影響し合っています。ある部位の緊張が他の筋肉の緊張や不活性につながることはよくありますし、またある筋肉や関節が他の部位に影響を与えることもあります。
一つの特定の部分だけにフォーカスせず、全体の関係を考える際に解剖学がお手伝いするのです。
学習する上で、科学的な根拠に基づいた情報に注意することも大切です。情報が正確かどうかを確認することで、信頼性のある知識を得ることができます。
そして、ヨガインストラクターとしての範囲を守り、あやふやな知識で診断や治療を行わないように心掛けることも重要です。
目の前の方に何かしてあげたいという気持ちは分かりますが、その道の専門家がいる場合は適切なアドバイスをお願いすることが賢明です。
身体についてはまだまだ未解明なことも多く、今の常識が将来的に訂正されることもあります。常に学び続ける姿勢を持ちましょう!